あるお店でショーケースからZIPPOを出して見せていただいているとき、店員さんが「お客様、ZIPPOの底にAの文字があります。これってすごく幸運って意味ですよ!!」と言ってきました。これは本当でしょうか?
ZIPPOライターのボトム刻印の誤った認識
ZIPPOライターをよくご存知の方なら、前出の店員さんが言った「ZIPPOの底にAの文字があると幸運という意味」が怪しいことにお気づきでしょう。
さらにこの店員さんの話は続きます。
DだとDeath(死)を意味するとか、Zはすごく運が悪いとか、いろいろ言っていたのですが途中からついていけなくて覚えてません。
どこからそんな作り話が出てきたのか聞いたところ、そこの売り場のスタッフは代々先輩から習ってきたそうです。
似たようなお話ですが、オーストラリアに行ったとき、ギフトショップでZIPPOをたくさん扱っているお店に入ったことがあります。
日本人の店員さんにZIPPOを見せてもらっているときに、ZIPPOを手にとって底を見せながら、これはAが刻印してあるからよいとか、Cもなかなか珍しいですよというように、いい加減な説明されました。
ZIPPOは「おみくじ」ではないですし、A、C、Dの文字があるからといって、必ずしもその商品の価値が決まるわけでもありません。
だんだん話を聞いているのがきつくなってきて、「私、日本でZIPPOライターの専門店で働いているんですけど・・・」と言ってみたら、げっ!という顔をしていました。自分でも適当なことを言っているのを分かっていたのでしょう。
本来なら、その商品の特性やデザインの意味、そのZIPPOが作られた背景などを語ってくれれば購入につながるとは思うのですが、そこまで熱心に調べたり勉強するのは大変かもしれません。
ZIPPOライターのボトムにある刻印の意味
前置きが長くなりましが、せっかくZIPPOライターを持つなら、底(ボトム)にある刻印の読み方を知っていると楽しいと思います。
特殊なケースは別にして、こちらでは基本的な二つの印についてご案内します。
その二つの印というのは、ZIPPOが製造された「年と月」になります。
製造年月は、ライター本体のボトムにあるZIPPOの文字の左右に刻印されています。
例えば、上の写真のように、F ZIPPO 06 となっていたら、そのZIPPOは2006年6月製造ということになります。
01だったら2001年、13なら2013年という感じです。
アルファベットは、1~12月までをA~Lで表します。1月(A)、2月(B)、3月(C)、、、12月(L)というようになります。
前出の店員さんが言った「Dは死(Death)を意味する」ではなくて、し、四月の意味なんですね^^;
ちなみに1~12月をアルファベットに合わせているので、「A~L」しかありません。X Y Zとかはありません。
2000年以前の製造年はローマ数字、スラッシュやドット(点)などが使われていました。製造月が刻印されるようになったのは1986年からです。
詳しくは、ZIPPO製造年コードのページをご覧ください。
自分のZIPPOがいつ製造されたのか、その年に何があったのか、自分のZIPPOは何歳なのか、そんなことを考えるとZIPPOを持つ楽しみも増すかもしれませんね。
製造年月を指定した注文はできるのか?
お客さんの中には、男の子が生まれた年に新品のジッポーライターを買って、その子が二十歳になったら渡すんだという方が時々いらっしゃいます。きっと素敵なプレゼントになると思います。
ただ、誕生日と合わせて製造年月を指定してZIPPOが欲しい、例えば、2023年6月生まれなので2023年6月製造のZIPPOが欲しいといったときは難しくなります。
ネット通販では、ZIPPO製造年月の指定ができないことがほとんどだと思います。基本、ZIPPOライターは商品番号で管理されていて、製造年月まではデータ化されていませんので、もし探すとなると手作業になります。
大手通販では、機械的に出荷されていきますし、個別のショップでも忙しいので製造年月まで確認している時間がないのが通常でしょう。
店頭では、ショーケースに入っていることが多いので、定員さんに頼んで、一つ一つ商品を出してもらって箱から出して製造年月を確認するというのは、非常に手間のかかる作業で、よほど暇でなければ対応してもらえないと思います。
特に、繁忙期であるバレンタイン・父の日・クリスマスにその種のお問い合わせがきても、忙しいショップでは対応できないでしょう。
1点ものというように限られた商品では、製造年月が公開されていることはありますが、お客様がお店を巡って(ネットも含めて)、それを一つ一つ探していくのはなかなか大変な作業です。
また、お店側で確認したとしても、希望する製造年月の商品があるとは限りませんので、時間の無駄になってしまう可能性が高いというのが正直なところです。
昔、私のお店でもやったことがありますが、徹夜で在庫をひっくり返すような勢いで探してやっと見つけて、常連のお客様さんと大喜びした記憶がありますが、これは非常に稀だと思います。
知り合いのショップさんとの懇親会で、お客様からの依頼で数日かけて探し出しても、最終的に購入されないお客さんも結構いたそうです。
近年の傾向ですが、お客様のために頑張って何かをしようとしても、少しの遅れや小さいミスがあれば電話で怒鳴られるクレームに繋がったり、SNSで有ること無いことを言われてしまう危機的な環境もあります。
こういった状況も加味すると、この種の依頼はお断りするショップが多いというのは仕方ない面があるのかなと思います。